【書評】徹夜しないで人の2倍仕事をする技術 三田流マンガ論
『徹夜しないで人の2倍仕事をする技術三田流マンガ論 ─三田紀房流マンガ論─ 』 (コルク)
- 作者: 三田紀房
- 出版社/メーカー: コルク
- 発売日: 2017/02/06
- メディア: Kindle版
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Amazonで安かったのと、ドラゴン桜を書いた人の作品はその後もヒットし続けているので、どうやって描いているのだろうかと気になり、kindleで購入しました。
衝撃だったのが、この方は30歳まで一切漫画を描いていなかったこと、そしてお金のために漫画を始めたということ。
- 私は30歳で初めてマンガを描いた。全くの素人で、マンガ家になりたかったわけではなく、はっきり言ってしまえばマンガが好きなわけですらなかった。子どものころに自腹でマンガ誌を買った記憶もない。大学では政治経済を学び、卒業後は西武百貨店に入社してごくふつうのサラリーマン生活を送っていた。 そんな男がなぜマンガ家になったのか。
- 衣料品店のように他人が作ったものを仕入れて売って、その中から経費を引いてようやく利益が出る商売はもうやりたくない。仕入れにお金をかけるよりも、1人でものを作って売るほうがはるかに効率的だ。何かそういう商売がないものだろうか───。 そう考えていたとき、たまたま目にしたマンガ誌で新人賞募集の広告を見つけた。大賞の賞金は100万円。必要な道具は紙とペンだけ。これなら自分が生産者になれて、しかも初期投資はほとんど要らない。掲載されている受賞作品を見ると、手が届かないようなレベルの出来ではない。「これなら自分でも描けるんじゃないか」と思い、とにかく見よう見まねで描いてみることにした。 幸運だったのは、義姉が『JIN―仁―』などで有名な村上もとか先生の奥様と親友だったこと。最初に描いた作品を村上先生に見ていただいたところ、「いいね」と可能性を認めてもらえたのである。こうして30歳で初めての作品を新人賞に応募し、講談社主催の「ちばてつや賞」の一般部門に入選。あっけないほど簡単な、マンガ家人生のスタートである。
すごいですね、もともと絵は好きだったとは思うんですけど、初期投資の少なさを考えるなど、理詰めで始めたんですね。
- 世間の人たちは、なぜマンガ家、いやクリエイターが〝敷居の高い職業〟だと思い込んでいるのだろう? 確かに、クリエイターの中には本物の天才が存在する。映画界でいうジョージ・ルーカスや黒澤明のような人たちはまぎれもない天才で、彼らが生み出す作品は素晴らしい。凡人には手が届かないレベルだ。しかしそれはごく一部で、業界の裾野を支えているのは、その他大勢の「ふつうの人」もしくは「それ以下の人」たちである。
この発想はとても大切。何か特別なことをしないとダメだと思い込んでいるのは、子どもたちにも当てはまります。
- 思うに、「何かを始めるには練習が必要」と考える人たちが多過ぎるのではないか。
- 四の五の言わず、ペンを手に取ればいいのだ。いくら練習を重ねても、マンガを描かないことには世間は何の評価もしないし、そこには一銭の価値も生まれない。 人が作ったものに文句を言うことができるなら、自分でやってみればいい。 世の中、「やったやつ」がエライのである。
どうすれば面白い企画ができ、ネームを描き続けられるのか、三田先生は次のように話しています。
- 描き続けるために絶対に必要なのが、「編集者が乗ってくる面白い企画を立てること」。では、どうすれば面白い企画ができるのか。いくつかあるノウハウのうちの1つが「針の穴」理論である。 新連載の企画というと、大体の人は「大きなテーマ」から入りたがる。例えば今、私は『アルキメデスの大戦』という歴史マンガを『ヤングマガジン』に連載している。時代は、第二次世界大戦開戦前夜。戦争モノの企画を立てるとき、よくあるのが「戦争の残酷さ」といった壮大なテーマを立てて、徹底的に史実を調べて超大作を書こうと意気込むパターンだ。しかし、戦争という大きなテーマを真正面から扱うと、発想の飛躍がなく、案外つまらないものが出来上がってしまう。 私の場合は、「針の穴」理論を使う。大風呂敷を広げるのではなく、針の穴くらい狭いところにテーマを絞り込んで、企画を考えるのだ。
自分にとって「針の穴」は何でしょうか。これはこの先の働き方を考えていく上でもとても重要です。
ちなみに僕は「先生とタスク管理」は針の穴だと考えています。発想そのものがこの業界にはない。タスク管理の第一人者の方と話したときも、「そもそも考えてもいない人たち」に出会ってもらうだけでも価値があるんじゃないかという話になりました。
- 私のマンガは、「空席」をみつけて成功してきた。 例えば大ヒットとなった『ドラゴン桜』。いまでこそゆとり教育の弊害が叫ばれているが、連載当時は個性を尊重したのびのびとした教育が理想とされていた。そんな〝ゆとり教育全盛時代〟に、あえて主人公につめ込み教育を施し、東大を目指させる設定にした。
- 「空席」をみつけたら、考える前にまず座ろう。自分のポジションを確保し、あとは本番の中で自分を鍛えていけばいい。「練習してうまくなってから」「準備を完全にしてから」と言っているうちに、何もしないで終わる人は多い。最初はへたでもいい。まずは、一歩を踏み出すことから始めよう。
自分の関わっていることで空席はあるか。。。そういう発想で今やっていることに満足せず、探していくことですよね。
今読んでいるこの本、とってもオススメなのですが、この本を読むと働き方自体を変えていく、考え直していく必要があると思っています。
この一冊は衝撃だなぁ。kindleのハイライトが毎ページ引いてしまっている。